食事バランスガイド
バランスのよい食事として以前、農林水産省・厚生労働省の「食事バランスガイド」を紹介しました。このとき、主食、副菜、主菜、乳製品、果物の5つのグループに分かれることになり、1日に食べてもいい量の目安が分かるものでした。
また、その際1日でこれを守るのはかなり難しいことから、週単位でバランスよく食べるようにするといいことをお話しました。
食事バランスガイドは最近の考え方であるのに対して、実は従来は違う考え方でバランスのよい食事をとるような指針のようなものがありました。
参考
食事バランスガイドは最近といってもかなり前(平成17年 2005年)に作られたもので、現在使っているものは平成22年(2010年)に改定されたものとなっています。
従来の考え方は3種類あり、そのうちどれかをご存知の方も多いのではないでしょうか?
従来の考え方であっても、これらを確認することで「食事バランスガイド」を違う視点から見ることができるのではないかということで紹介したいと思います。
紹介だけでなく、食事バランスガイドでは触れていなかったポイントも記載しますので、従来の考え方を見ることでポイントをつかむことができ、「食事バランスガイド」をよりうまく使うことができるでしょう。
従来の分類方法(3種類)
1.3色食品群
①体をつくるもとになる
→肉、魚、卵、牛乳・乳製品、豆など
②体の調子を整えるもとになる
→野菜、果物、きのこ類など
③エネルギーのもとになる
→米、パン、麺類、イモ類、油・砂糖など
どういった”もと”になっているのかという”栄養素”に基づいて、つまりどういった働きがあるのか?という視点から分類しているのがこの『3色食品群』です。
3種類ありましたが、今回はこの五大栄養素を詳しくみていきたいと思います。
2.五大栄養素
炭水化物・・ご飯、パン、麺類
皆さんご存知のとおり、取りすぎてしまうと太ってしまう炭水化物ですが、だからと炭水化物を抜くのはよくありません。
それではなぜ炭水化物を抜いてはいけないのでしょうか?その理由を知ると炭水化物ぬきダイエットなんていうことをしなくなるでしょう。
人間の体、特に頭を使う場合はこの炭水化物が必要不可欠です。言い換えれば脳を使うことができるのは炭水化物があるからです。
日本だけでなく、世界中の人が基本的にこの炭水化物を中心に食事をしているのはまさにそのためでもです。これでは少し漠然としているので、もう少し突っ込んで炭水化物についてお話をします。
炭水化物を抜かないでできる限り毎日とるのが理想な理由は、脳にエネルギーを送るためです。普通は炭水化物を取りすぎてしまうと太ってしまいます。これは体に炭水化物を蓄えているともいえますが、脳は太るということはないのはなんとなくわかるでしょう。炭水化物をとりすぎたからと脳は大きくならないでしょう。
これはなぜでしょう?
それは脳は他の場所と違って炭水化物を蓄えておくことができないからです。蓄えることができないので、毎日毎日エネルギーを脳に送ってあげる必要があります。
ですので、脳を働かす限りは炭水化物を抜いたダイエットなんていうのはもってのほかです。できる限り毎日摂取して炭水化物を脳に送ってあげましょう。ただ、とりすぎてしまうと脳以外の場所が太ってしまうので炭水化物の取りすぎは注意しないといけません。
脂質・・油、バター、マヨネーズなど
(肉、魚、卵、牛乳・乳製品なども含まれますが、たんぱく質と似ていてわかりづらくなるのでここでは除外しています)
脂質は取りすぎると太ってしまう原因になってしまいます。体の中では作ることができないものとして有名なのは必須アミノ酸ですが、必須脂肪酸というのもあります。
細胞膜やホルモンを作る元にもなったりしますし、ビタミンを吸収しやすくするサポートの役割もしています。
たんぱく質(=糖質+食物繊維)・・肉、魚、牛乳・乳製品、砂糖
人間だけでなく、ほとんどすべての生き物は様々なものから成り立っていますが、それを作っている元となるのがこのたんぱく質です。
全ての源でもあるので、たんぱく質を取りすぎてしまうと当然に太ってしまいます。
しかし、だからとたんぱく質を抜いた食事もやめましょう。
体を作る元なので・・例えば心臓などの臓器、骨、皮膚、血管・血液といったあらゆる元を作っているのがたんぱく質なので、たんぱく質を抜いた食事をしてしまうと、これらが不足してしまうことになります。
また、これらの食べ物の中には人間の体では作ることができない必須アミノ酸もあるので、そういったものを摂取する必要があります。
無機質(カルシウム)・・牛乳、いりこなどの小魚、海藻類
これらはできるだけたくさん食べてもよさそうですが、食事バランスガイドを思い出すと量が決められていました。
これらは取りすぎてしまうと無機質のとりすぎではなく、脂質の取りすぎになってしまうことになるので注意が必要です。やはりバランスよく食べるというのが重要ですね。
無機質(鉄)・・レバー、魚(かつお、イワシ)、貝(赤貝)、ほうれん草、小松菜
鉄分は2つに分類することができます。
①ヘム鉄・・・レバー、肉、魚
②非ヘム鉄・・野菜、海藻
①のヘム鉄は鉄分の吸収率がいいのに対して、②の非ヘム鉄は鉄分の吸収率が低いです。(効率が悪いです)そのため、①の分類にあるレバー、②の分類にあるほうれん草を同じ量を食べたとすると①のレバーの方が圧倒的に鉄分の多く摂取することができます。
鉄分は酸素を運ぶ大きな役割があるので、めまい、首・肩こり、冷え、動機・息切れ、などの人はこういった食材を意識して使ってみることをおすすめします。
あくまで効果が期待できるものであり、そういった症状を治すものではありません。
ビタミン・・みかん、りんご
人間が健康に生きていくためにはあるとうれしいのがこのビタミンです。ただ、体の中で作ることがほとんどできないので、果物等も適度に食べることが望ましいです。
また、ビタミンは他の栄養素の効果を高める働きをするものもあります。
例えば、鉄分を例に出すと非ヘム鉄は鉄分の吸収率が低いといいましたが、ビタミンcを一緒にとると鉄分の吸収率を上げることができます。ですので非ヘム鉄を使ったメニューを考える場合は、ビタミンcが多いものを入れる工夫をするといいでしょう。
3.6つの基礎食品郡
ここでは分類だけ記載するにとどめます。
1郡:肉、魚、卵、豆など
2郡:牛乳・乳製品、骨ごと食べられる魚
3郡:緑黄色野菜
4郡:他の野菜、果物
5郡:米、パン、麺類、イモ類
6郡:油脂類
終わりに
3の分類方法を見ると、1、2に似ていることがわかります。また、今回紹介した3つの分類方法は、結局似たような考えであることもわかるのではないでしょうか?
従来の3つの分類方法、現在の食事バランスガイド全て、基本的な考え方は同じなんだと。つまり、ばらばらにあるのではなく視点を変えて作られているものであるのではないかと思います。
こういった分類方法を知ることで、食事バランスガイドでは見えなかった部分も見え、より食事バランスガイドが使いやすくなるのではないでしょうか?
考え方
1.まずは「食事バランスガイド」で大まかに食べてもいい目安を把握する
↓
2.今回紹介した3種類の分類方法から、どういったメニューにするのかといったことが少しは見えてくるはずです。バランスよくメニューを考えるといいでしょう。